人が、現場を支えている。

「浜岡を支える 防波壁」篇

テレビCMコーナー

「浜岡を支える 防波壁」篇

テレビCM紹介

前例がない、まさにゼロからのスタート。

東日本大震災直後、当社の自主的な判断ではじまった防波壁の建設。沿岸にある一般的な防波堤や防潮堤とは違い、陸上に遡上した津波を防ぐ浜岡原子力発電所の防波壁は、これまで当社で手掛けたことがない構造物でした。設計条件を自ら新たに決めなければならず、参照すべき設計の基準や前例もすぐには探しだせない状態。福島第一事故や海外などの知見を踏まえた原子力発電所の新しい規制基準が施行される前でもありました。しかし、地域の方々の不安を少しでも早く軽減したい。我々はそんな想いで、それまで積み重ねた経験を活かし、実験や解析をおこないつつ、そのデータも活用しながら、設計を進めることを決断。それまでの想定を超える地震や津波にも耐えられる構造を目指しました。この決断の早さが、いち早い着工を実現できた要因だと考えています。

岩盤と防波壁を一体化するように。それが強度を高めるポイントでした。

津波から発電所を守るには、ただ高いだけでなく、津波の大きな力を受け止める強さが必要です。そこで考えたのが、地中にある固い岩盤と防波壁の基礎(地中壁)を一体化すること。岩盤を掘削して基礎の骨格となる直径51mmもの鉄筋をかご状に組んで埋め込み、さらにコンクリートを流し込んで隙間なく一体化させるように施工。そして、最も津波の力が掛かる基礎と地上の壁部分のジョイント部については基礎の鉄筋の周りを取り囲むように壁部の鋼材を配置しコンクリートで一体化させた構造でつなぎ合わせています。壁にかかる力を基礎と岩盤が一体となって受け止めることにより、強度と安定性に優れた設計となっています。

岩盤と防波壁を一体化するように。それが強度を高めるポイントでした。

防波壁を施工する現場は、発電所の前面約1.6キロメートルにわたり、場所によって、地表から岩盤までの深さや土壌や地下水の状態などの条件が異なります。そのため、設計上の強度を実現するには、精度の高い施工が必要でした。そこで、現場の施工チームと設計部署とが密接に連携。現場の情報をきめ細かく設計部署に伝え、設計に適切に反映しながら施工を24時間体制でおこなうなど急ピッチで進めました。内閣府の津波断層モデルによる最大クラスの津波に対して、津波対策の強化の観点から、かさ上げ工事の実施を判断した際にも、既存の壁を活かせたのは、元々の設計に余裕を持たせていたこと。そして、この一体感のある遂行力があってこそだと自負しています。

防波壁を施工する現場イメージ
防波壁を施工する現場イメージ
岩盤と防波壁を一体化するように。それが強度を高めるポイントでした。

海抜22メートル、総延長約1.6キロメートルの防波壁。さまざまな方の協力があり、ようやく作り上げることができましたが、これで安全性向上対策が終わったわけではないと思っています。現場の最前線を全力で守るために、設備の維持管理を確実におこなうとともに、新しくおこなう工事については、新たな知見を取り入れ常に問題意識をもって品質の確保と安全確保に努めていく。目の前のことをしっかりとおこなっていくことが、浜岡の安全性を高めていくことにつながる。そう思って毎日の業務に取り組んでいます。

防壁イメージ

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